睡眠は、私たちが日々の活動を支えるために必要不可欠な生理現象です。夜になると自然に眠気を感じ、朝起きるとスッキリと目覚めるのが理想的なサイクルですが、これは単に「夜は寝るもの」という習慣だけでなく、私たちの体内に存在する生物時計が深く関与しています。本記事では、睡眠の基本的なメカニズムから、時差ボケや睡眠障害について、そしてその対処法について詳しく掘り下げてみます。 人間の睡眠は「生物時計」によって調節されています。生物時計は脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)と呼ばれる部位に存在する時計細胞によって制御され、日中の活動と夜間の休息のリズムを作り出します。このリズムは、約24時間周期で変動する生理現象のことで、サーカディアンリズムと呼ばれ、睡眠覚醒リズムだけでなく、体温、ホルモン分泌、血圧など様々な生体機能に影響を与えています。視交叉上核は、このサーカディアンリズムを生成する中枢として機能し、主に太陽の光などの外部刺激によってそのリズムを調整しています。これは、昆虫のショウジョウバエでも同様な生物時計があり、動物に普遍的な仕組みで生きていくのに重要なものです。 朝、太陽の光が目に入ると、その刺激が視神経を通じて脳の時計細胞に伝わります。これにより、脳は「朝だ」と認識し、活動モードに切り替わります。このとき、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が減少し、代わりに覚醒を促すホルモン(コルチゾールなど)が増加します。 夕方になり太陽が沈むと、光の刺激が減少することで脳は「夜だ」と認識します。その結果、再びメラトニンが分泌され始め、体温や心拍数が低下して眠気が訪れます。メラトニン以外にも、GABA(γ-アミノ酪酸)やアデノシンなど、睡眠に関わる様々な物質が体内で複雑に作用し、睡眠を促します。 この生物時計が正常に機能していれば、自然と眠りにつき、朝もスムーズに起きることができます。しかし、日常生活の中で様々な要因がこれを妨げることがあります。 日中にストレスや興奮する出来事があった場合、脳が夜になっても活発な状態を維持してしまい、寝つきが悪くなることがあります。例えば、仕事でのプレッシャー、緊張感のある会話、あるいは夜遅くのスマートフォンやPCの使用は、脳を刺激してしまう原因となります。 寝る前にコーヒーやエナジードリンクなどカフェインを多く含む飲み物を摂取すると、脳の覚醒作用が強まり、入眠が妨げられることがあります。一方で、カモミールティーやラベンダーティーなどのハーブティーは、リラックス効果が期待できるため、夜の飲み物として適しています。 部屋が明るい、うるさい、あるいは室温が適切でない場合も、良質な睡眠を妨げます。特に、光は生物時計に直接影響を与えるため、寝室の明かりやスマホのブルーライトは注意が必要です。 海外旅行では「時差ボケ」と呼ばれる現象に悩まされることがあります。時差ボケとは、現地時間と体内時計のリズムが合わなくなることで生じる一時的な不調を指します。 若い頃は比較的順応しやすいものの、年齢を重ねると体内時計の調整が遅れるため、より強い症状を感じやすくなります。また、東へ向かう旅行の方が西へ向かう旅行よりも時差ボケの影響を受けやすいと言われています。これは、体内時計を遅らせるよりも進める方が難しいからです。もちろん、個人の体質も影響します。 睡眠に関する問題が慢性的に続く場合、それは「睡眠障害」と呼ばれる状態かもしれません。一般的な睡眠障害には以下のようなものがあります。 質の高い睡眠を確保するためには、以下のような工夫が役立ちます。 睡眠は、体と脳を休ませるだけでなく、心身の健康を維持するために欠かせないものです。しかし、日常のストレスや生活習慣、あるいは環境要因がそれを妨げることがあります。また、時差ボケや睡眠障害といった問題に直面した場合、適切な対処法を知ることで、快適な睡眠を取り戻すことが可能です。自分の睡眠リズムを理解し、工夫を重ねて、より健康的な毎日を送りたいものです。睡眠の基本メカニズムと生物時計
朝の光と覚醒
夜の暗さと眠気
睡眠を妨げる要因
刺激の多い活動
カフェインの影響
睡眠環境
時差ボケ(ジェットラグ)とその対策
年齢や移動方向の影響
対策
睡眠障害とその種類
快適な睡眠を得るための工夫
まとめ
歴史ドラマで輝く中国の女優、スン・リーの魅力と代表作について
中国ドラマ界には、時代劇や現代劇で活躍する多くの女優がいますが、その中でもスン・リー(孫俪)は特に際立つ存在です。今回は、スン・リーの魅力や代表作について、特に『宮廷の諍い女』、『ミーユエ 王朝を照らす月』、そして『月に咲く花の如く』について紹介します。中国のドラマでは、吹き替えが多いですが、スン・リーはが自分の声で演技する数少ない女優です。
スン・リーのプロフィールと演技の魅力
スン・リーは中国・上海出身の女優で、1982年生まれ。若い頃、3年間軍に所属したため、精悍な面立ちで、迫力がある演技が特徴です。特に歴史ドラマでは、スン・リーの知性と演技力が最大限に発揮されます。重厚なストーリーと複雑なキャラクターを通じて、観る者をその時代の空気に引き込む力が彼女にはあります。私が見た作品を発表年にしたがい簡単に紹介します。タイトルのところにアマゾンのリンクを張っています。
スン・リーのキャリアを語る上で欠かせないのが『宮廷の諍い女』(原題:甄嬛传)です。このドラマは、清の後宮での複雑な権力闘争を描きながら、スン・リーが演じる主人公・甄嬛(しんけん)の成長と葛藤を追った壮大な物語です。
甄嬛は純粋な気持ちで宮廷に足を踏み入れますが、次第に後宮の愛憎や陰謀に巻き込まれ、したたかに生き抜く女性へと成長します。スン・リーの繊細かつ大胆な演技は、物語の持つ緊張感をさらに高め、多くの観客を魅了しました。脚本もよい上に共演者にも恵まれた作品で最後まで楽しめました。この作品は彼女の知名度を一気に押し上げ、アジア全域での人気を確立した転機となった作品です。
2015年に放送された『ミーユエ 王朝を照らす月』(原題:羋月传)は、戦国時代を舞台にした壮大な歴史ドラマです。スン・リーが演じる主人公・ミーユエ(羋月)は、のちに中国初の太后として名を残す実在の女性です。共演者に中国を代表する女優のリウ・タオ(劉涛)がおり、引き締まった作品に仕上がっています。
物語は、楚の王女として生まれたミーユエが、数々の困難に立ち向かい、秦の宮廷で権力を握るまでの波乱万丈な人生を描いています。スン・リーは、純粋で情熱的な若い頃の姿から、知略を駆使する太后へと成長する姿を巧みに演じ分けました。このドラマでは、彼女の感情表現の幅広さと、壮大な歴史観の中でキャラクターを際立たせる力が存分に発揮されています。
3. 月に咲く花の如く 2017年
2017年に放送された『月に咲く花の如く』(原題:那年花开月正圆)は、清朝末期を舞台にした商業ドラマで、スンリーの演技力がさらに高く評価された作品です。彼女が演じる主人公・周瑩(しゅうえい)は、実在した女性実業家をモデルにしており、困難に立ち向かいながら成功を掴む姿が描かれています。共演者にチェン・シァオ(陳 暁)がおり、2人が助け合いながらストーリーをつぐんで行きます。
このドラマでは、出生が不明確な周瑩が、大きな商家に入り皇室とも絡みながら清朝の厳しい社会制度や商業競争の中で頭角を現していく様子が、リアリティと感動を伴って描かれています。スン・リーの演技は、強い信念と柔軟さを持ち合わせた主人公の魅力を見事に表現しており、視聴者を引き込む力に満ちています。お父さん役(リウ・ペイチー)のコミカルな演技も大好きです。
歴史背景の再現
『宮廷の諍い女』や『ミーユエ 王朝を照らす月』、『月に咲く花の如く』では、当時の文化や風俗が細部にわたり再現されています。華麗な衣装や建築、さらには政治や商業のシステムまで、観る者をその時代に連れて行くようなリアリティがあります。『宮廷の諍い女』は、北京市の故宮博物院(紫禁城)で撮影されたようです。あと二つは、「横店影視城(横店スタジオ)」という中国浙江省の金華市東陽市(上海の近く)にある(東京ディズニーランドの1.5倍くらいもある)世界最大のスタジオで撮影されたようです。両方とも観光客にも人気のスポットです。
まとめ
スン・リーは、現代劇にも歴史ドラマにも対応できる稀有な才能を持つ女優です。ここで紹介した作品も彼女の卓越した演技が際立っており、私も感銘を受けました。これらのドラマは、単なるエンターテインメントとして楽しむだけでなく、中国の文化や価値観を学ぶきっかけにもなります。字幕なしで楽しみたいと思い、中国語を学ぶきっかけとなりました。日本のドラマとは一味違うストーリーやスンリーの圧倒的な演技に、きっと心を奪われることでしょう。
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マレーシアの文化と宗教が織りなす生活の風景
マレーシアは、多様な人種と文化が共存する国ですが、その政治と社会の主導権を握っているのは、主にマレー系の人々です。長い間、経済の発展を牽引してきたマハティール・モハマド元首相がその象徴的な存在です。彼は、1981年から2003年まで首相を務め、マレーシアの経済を大きく発展させ、近代化を進めた人物として広く知られています。また、「ルックイースト政策」で日本をモデルにマレーシア経済を発展させました。また、クアラルンプールのツインタワーに住んでいたというエピソードもあり、彼の存在は今もなおマレーシアの象徴となっています。2018年、90才を過ぎてるにも関わらず2度目の首相を務め世界中を驚かしました。
マレーシアは、イスラム教を中心に成り立っている国でもあります。イスラム教は国教であり、国民の大部分がイスラム教徒です。このため、街中ではお祈りの時間になるとスピーカーからアザーン(祈りの呼びかけ)が流れ、静かな空気が広がります。私は、クアラルンプールやマラッカの街を通っているときに、このアザーンを耳にしたことがあります。現地の人々が宗教に基づいて生活していることを実感する瞬間でした。
イスラム教徒の方々は、1日5回のお祈りを欠かすことなく行います。例えば、現地の方々と出かけた際に「お祈りに行ってきます」と言われ、モスクに同行してお祈りが終わってから食事に行ったことがありました。こうした習慣から、宗教が人々の生活の中心にあることがよくわかります。かつて日本でも、仏教が盛んな時代には、似たような生活様式があったのかもしれないと思うことがあります。宗教に従うことが日常の一部として自然に存在している点が、非常に印象的でした。
また、イスラム教ではお酒を飲むことが禁じられています。そのため、マレーシアでは日本のような飲み屋街は見かけませんでした。アルコールを提供する場所は限られており、特にムスリムの多い地域ではアルコールを摂取できる場所が少ないことが特徴です。しかし、マレーシアには多様な文化が融合しているため、特に中華系のエリアではアルコールを提供するレストランが多くあります。クアラルンプールの中華街に行くと、アルコールを楽しみながら食事をすることができ、異文化の交差点を感じることができます。お酒の問題は結構話題になるようで、マレーシアの国会で議論されてるのをニュースで見たことがあります。私は普段あまりアルコールを摂取しないので特に不便は感じませんでしたが、お酒が好きな方には少し物足りないかもしれません。
マレーシアの社会において、特に目を引くのは女性の服装です。多くのムスリム女性は、髪の毛を隠すためにスカーフを着用しています。スカーフは、単に宗教的な意味合いだけでなく、ファッションとしても身に着けられていることがよくあります。私が訪れた大学では、スカーフを上手にコーディネートした女子学生が多く、華やかな色合いやデザインを楽しんでいる様子が印象的でした。彼女たちは、自由におしゃれを楽しんでおり、宗教的な習慣がある中でも自分らしさを表現しています。このように、マレーシアでは宗教と自由な個性が調和していることが感じられました。
また、マレーシアでは女子教育に力を入れている姿勢が見られます。大学には多くの女子学生が在籍しており、教育に対する関心の高さが窺えます。女性の社会進出が進んでいる一方で、伝統的な文化や宗教的価値観が大切にされており、男女のバランスが取れた社会が築かれているように感じました。こうした背景から、マレーシアは多様性を尊重しながら、経済や教育の分野で着実に成長を続けている国と言えるでしょう。
人口構成についても触れておきます。マレーシアの人口は、マレー系が約6割強を占め、次いで中国系が約2割強、インド系が1割弱ほどを占めています。宗教は、イスラム教が6割、仏教が2割、ヒンズー教が1割、キリスト教が一割くらいで民族の割合にほぼ合っています。このような多民族国家の中で、それぞれの民族や宗教が共存し、互いの文化を尊重しながら生活している点が特徴的です。ある時、街中で歩くカップルを見ていると、それぞれの民族同士で歩いてるのに気付きました。宗教や人種を越えて家族をつくるのはあまりないのかもしれません。これは、イスラム教の人と結婚するとイスラム教に改宗するというのが大きく影響しているのかもしれません。
中国系の人々が多く住むエリアでは、中華街のような活気あふれる市場が広がっており、食文化にも多くの影響を与えています。こうしたエリアでは、マレー料理だけでなく、中華料理やインディアン料理など、多様な料理が楽しめます。日本人が、マレーシアに行くと見かけが似ている中国人と間違えられるかもしれません。私も中国語で話しかけられたことがあります。
マレーシアの文化は、単一のものではなく、さまざまな文化が交じり合いながら形成されています。この国の魅力は、まさにその多様性にあります。宗教、言語、文化が入り混じった環境で生活することは、非常に刺激的であり、日々新しい発見があるように感じました。また、マレーシアの人々は非常に親切で温かく、異なる文化や宗教に対しても寛容な姿勢を持っていることが、私の印象をより深めました。
このように、マレーシアはその宗教や文化に基づく生活様式が色濃く反映された国です。それでも、生活する人々は互いに理解し合い、多様な価値観を受け入れながら、日々の生活を送っています。私は、マレーシアで過ごした時間が、異文化を理解するための貴重な経験となったと感じています。そして、マレーシアが今後もその多様性を活かしながら、さらに発展していくことを願っています。
日本における年齢差別の現状と私の挑戦
仕事を辞めた後、私がまず行ったのは、職場からもらった離職票を持ってハローワークへ向かうことでした。目的は高年齢求職者給付金の申請です。この給付金は、退職後1年以内に申請すれば受け取れる一時金で、生活の立て直しや次の挑戦のために大変有益な制度です。以前は65歳を過ぎると雇用保険には加入できませんでしたが、現在は加入が義務付けられています。しかし、なぜ65歳未満と異なる形で失業手当が支給されるのか、疑問を感じました。
給付金の申請を終えた後、私は専門スキルを身につけたいと考え、学び直しに挑むことを決意しました。人生100年時代といわれる今、自分の価値を高めるためには、新たなスキルを習得することが必要だと思ったのです。特に、調理師資格の取得やIT技術の習得に関心がありました。調理師資格は家庭でも役立つスキルを磨け、ITスキルはオンラインでの多様な働き方を可能にする点で魅力的です。
年齢による壁との遭遇
ところが、ハローワークで職業訓練校への入校を希望したところ、「年齢を理由に就職の見込みが低い」と判断され、不合格となりました。この結果に驚くと同時に、強い違和感を覚えました。
日本では、年齢による採用制限が依然として根強く存在しています。企業の採用条件に「35歳以下」といった年齢制限が暗に設けられている場合や、求人情報で「若い職場」などと記載されているケースは、高齢者の就労機会が制限されていることを示唆しています。再就職市場では年齢を理由に応募が制限されることも少なくありません。ハローワークで高齢者向けの求人が別枠でまとめられているのを見て、日本の労働市場が真の意味での「生涯現役社会」からはまだ遠い現状を実感しました。
法律の存在とその現実
日本には雇用対策法や年齢差別禁止に関する法律があり、採用時の年齢制限や雇用条件、解雇、昇進の機会における年齢差別を禁止しています。しかし、実際には法律が十分に機能していない事例が多く、形式的な規制に留まっているのが現状です。ハローワークという公的機関で年齢による選別が行われていることは、法の形骸化を象徴する出来事といえるでしょう。
海外の先進的な取り組みから学ぶこと
対照的に、海外では年齢差別への取り組みが進んでいます。アメリカやイギリスでは年齢差別禁止法が厳格に運用され、採用や職場での待遇における年齢差別が違法とされています。求人広告で年齢条件を明記することは禁止され、違反には厳しい罰則が科されます。カナダやオーストラリアでは定年退職制度自体を廃止し、高齢者が能力と意欲に応じて働き続けられる環境整備が進められています。
新たな挑戦への一歩
職業訓練校への道が難しいと分かった私は、専門学校や民間スクールも検討しましたが、費用や時間の面で現実的ではありませんでした。そんな中、ハローワークの担当者から「通信教育なら費用補助が利用できる」と教えてもらい、提供されたコース一覧の中で「AIプロンプトエンジニアコース」に目を留めました。
このコースでは、Pythonプログラミング、数学の基礎、Linux操作、機械学習など、AI時代に必要な実践的なスキルを学ぶことができます。通信教育のため、自分のペースで学べ、さらに受講料の半額が補助される点も大きな魅力でした。
現在、学習を始めて数か月が経過しました。新しい知識を吸収するのは決して簡単ではありませんが、「学ぶ楽しさ」を再発見しています。「自分にも新しい挑戦ができる」と実感できたことは、何物にも代えがたい喜びです。
おわりに
日本の制度や社会における年齢に対する偏見には多くの改善の余地がありますが、同時に利用可能な支援制度を賢明に活用すれば、新たな可能性を切り開くことができます。諸外国の先進的な取り組みから学びつつ、日本の文脈に合った柔軟な労働環境を模索することが重要です。
高齢者一人ひとりの体調や意欲、生活スタイルに応じて、それぞれが生きがいと喜びを感じられる働き方や生き方を選択できる社会。それこそが、真の意味での「生涯活躍社会」ではないでしょうか。
地方政治に潜む隠れた権力構造──兵庫県の改革が問うもの
ディープステートとは?
ディープステートとは、選挙で選ばれた政治指導者や公選の代表者ではなく、永続的な政府機関や官僚、影響力のある利益集団が実質的な政治的権力を保持し、政策決定に大きな影響を与える隠れた政治構造を指します。この用語はアメリカで特に注目され、トランプ政権期にはディープステートをめぐる議論が活発化しました。しかし、ディープステート的な現象は特定の国やレベルに限定されるものではなく、地方自治体や他国の権力構造においても存在する可能性があります。
兵庫県知事選挙の結果と旧体制の抵抗
兵庫県知事選挙では、斎藤元彦氏が既成政党の支持を受けた候補を破り当選しました。この選挙は、マスコミが斎藤氏に対して批判的報道を展開し、主要勢力である維新の会も距離を置くという異例の状況下で行われました。それでも斎藤氏が勝利を収めた背景には、県民の間で既存勢力や既得権益への不満が高まっていたことがあると考えられます。
一方で、斎藤知事が財政改革や天下り規制といった改革を進めようとすると、県庁の職員OBや職員組合など、既存勢力から強い反発を受けました。この動きは、選挙で選ばれていない勢力が実質的な権力を行使するというディープステートの典型的な特徴を示しています。特に、長年の行政運営で築かれた既得権益が強固であることが、この抵抗の背景にあります。
現在でも、知事を追い落とそうとする勢力が動いている状況は、民主的手続きに基づく選挙結果に対してディープステート的な反撃が行われているようにも見えます。このような状況は、地方自治体における権力構造の透明性や民主主義の基盤を問い直す契機となるでしょう。
マスコミの役割と課題
このような権力構造において、マスコミの役割は極めて重要です。しかし、斎藤知事に対する報道は、既存勢力側に偏った情報提供が指摘されており、改革の背景や必要性を十分に伝えていない場合があります。このような状況は、県民の判断に偏りを生じさせる可能性があります。
一方で、SNSの台頭がマスコミの影響力を相対化しつつあります。特にX(旧Twitter)では、一次情報(文書、写真、動画、音声)や多様な視点が直接共有されることで、従来のメディアの枠組みを超えた情報流通が可能となっています。専門家や市民が議論を深める中で、透明性と説明責任が求められる権力構造に対する理解が広がりつつあります。
市民のメディアリテラシーと情報環境の変革
こうした情報環境の変化に伴い、市民が情報を批判的に読み解く力、いわゆるメディアリテラシーを持つことが重要です。特に、報道やSNSで流れる情報を冷静に分析し、その背景にある利害関係や情報源の信憑性を検証する力を養う必要があります。
また、SNSの活用においても適正な利用が求められます。以下のような取り組みが有効です:
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一次情報の重視
信頼性のあるデータや証拠に基づいた情報発信を推進する。 -
ファクトチェックの強化
専門家や第三者機関による迅速な誤情報の訂正システムの構築。 -
利用者教育の推進
感情的な反応に流されず、論理的に情報を評価する文化を育てる。
これらの取り組みによって、SNSは市民参加型の政治議論を支える健全なプラットフォームとしての役割を果たすことが期待されます。
地方自治とディープステートの課題
兵庫県知事選挙に見られるように、地方自治体にもディープステート的な権力構造が潜む可能性があります。このような状況を改善するためには、以下が重要です:
- 情報の透明性を確保し、県民が事実を十分に知る環境を整えること。
- 選挙を通じた民主的正当性を守り、選ばれた指導者が政策を遂行できる仕組みを確立すること。
兵庫県の事例は、地方政治における権力構造の課題とその改革の必要性を浮き彫りにしています。このような教訓を基に、健全な政治運営を実現するための取り組みを進めることが求められています。
字を知らぬ者こそ、真実を知る - 親鸞『正像末和讃』を読み解く
よしあしの 文字をもしらぬ ひとはみな
まことのこころ なりけるを
善悪の 字しりがおは
おおそらごとの かたちなり
親鸞「正像末和讃」(『浄土真宗聖典』622頁)
(良いとか悪いという文字を知らない人はみんな、真実の心を持った人です。善悪の文字が、わかったと思って使ってる人は、かえって何も分かっていないのです。)
親鸞が88歳のときに詠んだ上記の和讃、「正像末和讃」の一節には、善悪を超えた「まことのこころ」を持つ人々への深い敬意が表れています。この和讃の背景には、親鸞が長年追求してきた浄土真宗の核心が凝縮されており、善悪や知識の価値を相対化し、人々の真実の姿に光を当てる彼の視点が浮き彫りになります。本稿では、この和讃を基軸に、法然や蓮如の言葉とも照らし合わせながら、その思想の深まりを考察します。
和讃の意味するもの
和讃冒頭の「よしあしの 文字をもしらぬ ひとはみな まことのこころ なりけるを」という一節には、文字や知識を超えた「真実の心」の重要性が語られています。この言葉には、仏法の本質を理解するのに世俗的な知識や知恵が必ずしも必要ではないという親鸞の深い洞察が込められています。親鸞は、人間の価値を善悪や知識の有無で測ることを否定し、阿弥陀仏の本願の前ではすべての人が平等であるという浄土教の教えを体現しています。
親鸞の著作『歎異抄』には、彼のこのような思想が端的に示されています。たとえば、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という言葉は、「善悪を問わず阿弥陀仏の救いがすべての人に及ぶ」ことを意味します。善悪を超えた視点が、浄土真宗における救済の本質なのです。
法然の教えとの関連
親鸞の師である法然のもののうちに、まことの心について書かれたものが残っています。
往生は世にやすけれど みな人の まことのこころ なくてこそせね
(極楽に往生することはとても容易ですが、どの人も真実の心がないからこそ往生しないのです。)
この和歌の中にあるまことの心とは、真実のことであり三心の中の至誠心の意味です。至誠心は、生活上の雑事にあまりとらわれず、念仏を一生懸命唱える行(ぎょう)を行うことです。三心とは、『観無量寿経』に説かれる3種の心のことです。至誠心(まことに浄土を願う心)、深心(阿弥陀仏の本願の救いを深く信じ求める心)、回向発願心(所修の功徳を回向して浄土に往生しようと願う心)の三心のことです。この三心は念仏という行をすれば自然と備わってくるというのが法然の教えです。さらに、三心を備えているものは必ず浄土に往生できるといいます。
法然の思想の中心にあったのは、自己の行いや努力に頼らず、阿弥陀仏の力に身を委ねる「他力本願」の教えでした。親鸞はこれをさらに発展させ、人間の煩悩をも含めた「悪人正機説」という形で具体化しました。法然の「念仏一筋」という教えが、親鸞の善悪や知識への相対的な視点につながっているのです。
蓮如の解釈と民衆への浸透
蓮如は親鸞の思想を引き継ぎ、民衆に浄土真宗の教えを広めた人物です。蓮如が書いた『御文章』には、親鸞の思想をわかりやすく噛み砕き、庶民に伝えるための工夫が随所に見られます。その中には、「仏法の要は他力の信心にあり」という言葉があります。
蓮如は、信心が形式や知識に依存しないことを強調しました。「善悪の字しりがおは おおそらごとの かたちなり」という親鸞の和讃の一節に通じる内容が、蓮如の教えにも息づいています。蓮如は、知識や理屈にとらわれず、阿弥陀仏への素直な信を持つことが大切だと説きました。この姿勢こそ、浄土真宗の教えが民衆に広く受け入れられた理由の一つといえるでしょう。
現代への示唆
親鸞が「善悪の字しりがお」を批判したのは、知識や理屈にこだわるあまり、人間の本質的な価値を見失う危険性を指摘したかったからでしょう。この教えは、現代社会における評価や判断の在り方に重要な示唆を与えています。私たちは往々にして、人々の価値を外見や業績、知識の多寡で測りがちです。しかし、親鸞が示した「まことのこころ」に目を向けるとき、人間の本質的な尊厳と可能性が見えてくるのではないでしょうか。
結び
親鸞、法然、蓮如の教えを通じて、「正像末和讃」の思想がより深く理解できます。この和讃が語るように、善悪や知識を超えた「まことのこころ」に立ち返ることで、浄土真宗の真髄が見えてきます。現代の私たちにとっても、その教えは新たな光を与えてくれるでしょう。
参考文献のリンク(下記をクリックしてください。)
韓国ドラマ 今日、妻やめます 人生最高の贈り物 黄金の私の人生
最近見て面白かった韓国ドラマを紹介します。
今回は、最近私が見た韓国ドラマ3作品をご紹介します。それぞれの作品の魅力、キャストの魅力、そして視聴率や韓国での評判まで、幅広く深掘りしていきます。
1. 今日、妻やめます(原題:오늘부터 우리는)2017-2018
チェ・スヨン(元・少女時代とオン・ジュワン主演。チェ・スヨンは、これまで少女時代としてアイドルとしての活動が中心でしたが、ドラマでは社会に出て壁にぶつかりながらも成長していく女性を熱演しています。日本語が流暢で日本で活動したこともあるようです。オン・ジュワンは、出世の秘密があるためか影のある役をうまく演じていました。脇役はよく見る方々が出ています。チェ・スヨンの両親の芸域が広いキム・ミスク(華麗なる遺産、オクニョ に出演)と渋い役が多いキム・ガプス(復活、シンデレラのお姉さん)が出ています。実は、妻やめますと言ったのは、このお母さん役のキム・ミスクでした。キム・ガプスが亭主関白の権化みたいなところが徐々に変化してくところの演技がうまかったです。悪役のハン・ガリムも頑張ってドラマを面白くしてくれました。韓国ドラマは悪役がどれだけ頑張るかで良し悪しが左右されるところがあります。強烈な個性があるベテランのキム・スミ(バリでの出来事、王と私)と若手ですがうまいソ・ヒョリム(キム秘書はいったい、なぜ、風吹くよき日)の親子もなかなか見どころがありました。
見どころ
- 社会の壁にぶつかる若者たちの姿: 就職活動、恋愛、家族関係など、現代社会で生きる若者たちが抱える悩みや葛藤がリアルに描かれています。
- 家族の絆: 家族の愛、そしてその裏側にある葛藤が丁寧に描かれており、観る人の心に深く響きます。
- 笑いと感動のバランス: コメディ要素と感動的なストーリーが絶妙に組み合わさり、飽きさせない展開が魅力です。
人物相関図
視聴率と韓国での評判
視聴率は、期待されたほどの数字にはなりませんでしたが、口コミで話題となり、徐々に人気を集めました。最高視聴率は19.1%まで上がりました。韓国での評判としては、チェ・スヨンの演技に対する評価が高く、「アイドル出身とは思えない演技力」と称賛の声が多く聞かれました。物語の展開も早くて予想外のことが次々起こり好きなドラマです。
2. 人生最高の贈り物〜ようこそ、サムグアンハウスへ〜(原題:역도요정 김복주)2020
イ・ジャンウとチン・ギジュというフレッシュな組み合わせが話題となった本作。イ・ジャンウは、これまで多くのドラマに出演し、その演技力には定評がありますが、本作では明るい性格で、優しい兄貴分のような役どころを見事に演じきりました。チン・ギジュは、初めて見ましたがとても良い演技をしていました。本作で一躍スターダムにのし上がり、その愛らしい笑顔と演技で多くの視聴者を虜にしました。私が好きな女優さんであるチョン・インファ(製パン王キムタック、王と私)は、ベテランで芝居が上手い女優です。本作でも優しいお母さん役を見事に演じ切っていました。チョン・ボソク (テジョヨン、人魚姫)は、シリアスな役柄が多い彼が、本作では comedic な側面を見せ、キャラクターの奥行きを感じさせました。人魚姫のママジュン役がよかったですね。出生の秘密、交通事故、記憶喪失という韓国ドラマの3つの要素が詰まっている王道ドラマです。
見どころ
- 若者たちの成長物語: 夢を追いかける若者たちの姿が、明るく爽やかに描かれています。
- 家族の温かさ: ちょっと変わった家族が織りなす、温かい人間ドラマが魅力です。
人物相関図
視聴率と韓国での評判
視聴率は、同時間帯で高視聴率(33.7%) を記録し、大きな話題となりました。韓国での評判としては、若者たちのリアルな姿が共感を得たとともに、キャストたちの演技力も高く評価されました。特に、チン・ギジュの演技は、視聴者から「国民の妹」と呼ばれるほどの人気ぶりでした。
3. 黄金の私の人生(原題:황금빛 내 인생)2017
パク・シフとシン・ヘソンが主演となった本作は社会的テーマを中心に描かれた感動的なヒューマンドラマです。特にシン・ヘソンは、家族のために苦労を重ねる女性役を感情豊かに演じ、視聴者から共感を得ました。パク・シフ(一枝梅(イルジメ、検事プリンセス) 、は、財閥の御曹司の役がピッタリとはまっていました。また、脇役として登場するチョン・ホジン(トンイ、いとしのソヨン)、キム・ヘオク(北の駅から(第二部、ソル薬局の息子たち)、といったベテラン勢が物語に厚みを持たせています。
見どころ
• 社会的格差と家族の愛: 家族間の葛藤や社会問題にスポットを当てながらも、最終的には温かい絆が描かれています。
• 一般家庭の若い人がうまく就職することの難しさとそれに必要な努力が努力や落下傘と呼ばれる横入りなど現代韓国社会の問題がよく描かれています。一方で、財閥の中からの現状を改革しようとする動きなども興味深いです。
人物相関図
視聴率と韓国での評判
視聴率では、放送開始当初から圧倒的な数字(20.7%)を記録し、話題沸騰となりました(最高47.5%)。特にヒロインのシン・ヘソンは、この作品を通じてトップ女優の仲間入りを果たし、韓国国内での評価も非常に高いものとなっています
まとめ
今回紹介した3作品は、それぞれ異なる魅力を持つドラマです。主役ももちろん素晴らしい演技をされていましたが、脇役にもよく見る俳優が出ていました。社会派ドラマ、青春ドラマ、家庭ドラマと、様々なジャンルのドラマを楽しみたい方におすすめです。ぜひ、この機会に視聴してみてはいかがでしょうか。